水平線 第3話(4)
2005年11月24日 小説 随筆しばらく活動休止期間をいただいておりました。
まあ俺の編集長のM氏の激励もあり水平線執筆
はしておりましたので続きを書きます。
個人的には昨日今日とバイトで忙しかったです。
代返してくれたOくんありがとね。
では続きです。
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水平線 第3話/「失くした物。真実の扉」 全5話
タバコに火をつけ目を細める俺。いつだってあいつは傍にいた。
渋谷を歩いているとどこからともなく冬の匂いがした。もうすぐ
冬が来る。世間ではクリスマスまでにシングルがいやだから彼女
彼氏が欲しいという話題で学内はもちきりだった。
俺には心のぽかんと開いた空洞のようなものがある。それが
なにかって?俺にもそれは分からない。ただ知子がアメリカにいって
からこの感覚は起こった。それも継続的にね。がらんとした4畳一間
の片隅に俺はうずくまっているような感じである。TVをつけっぱなし
にして、PCにきているメールをチェックしていると、チャイムが
なった。「ったく。誰だよ。」俺は眉間に皴を寄せてドアの穴をのぞき
こんだ。するとサブが身をかがめてたっていた。「ハル!いるんだろ?」
マンションに響き渡るくらい大声でやつはいった.あいつ!俺は恥ずかしい
のに絶えるのもいやなので、ドアをあけた。
サブは遠慮もなしにずかずかと俺の部屋にあがってきた。
「コーヒーでいいだろ?」俺は返事も確認しないままにカップをだす。
「なーハル。最近、おまえちょっとおかしいぜ?」
「なにがだよ。」俺はタバコを灰皿におしつけて言った。
「まーなんかわかんねーけど一人で何か背負い込んでる気がするな。」
サブが意外に観察力のある男だと2年の付き合いで今はじめてしった。
「そんなことねーよ。」俺は淹れたてのコーヒーを喉に押し込んで言った。
サブに心の中を見透かされている気がしてすこし動揺した。
俺は昔から強がって弱いところを人に見せない人間だった。
どうしても人に甘えることができないのだ。
「もっと素直になれよ。」サブは肩をすくめて言った。
「なぁサブ。お前は本当に好きな女が死んだらどうする?」
俺は唐突にそんなことをサブに聞いてみた。
「どーだろな。死んだらどーすることもできねーしな。」
愛するものとの死別という体験をしていない若者の俺たちには到底答えはでなかった。
しばらくたわいもない話をしていると、サブはこう言った。
「ハル、おまえ、ともこのこと忘れられないのか?」
いつになく真剣な表情だ。
「サブ。ちょっとした話をおまえに聞かせるよ。」サブはなんだよという
顔つきでこっちを見た。
「ある女は難病で死を迎えた。そしてその恋人の男は毎年ある場所を
訪れ彼女のことをおもうんだ。そうすると、なんとも悲しい気持ちに
なるんだが、彼女に会える気がするんだ。そしてその男性は10年後
にその彼女の発病のきっかけが病院の医療ミスで起こったことをひょんな
ことからカルテを見つけてしってしまうんだ。その男は病院を憎んだ。どうして
患者を取り違えるなんてありえないミスを起こしたんだって。」そこで俺は目を
ほそめタバコに火をつけた。サブは俺の話に聞き入っていた。
「彼は復讐に燃えた。そして裁判を起こしたが結局病院側の過失致死罪も一部しか
認められず、結果的に敗訴となったんだ。」そこで俺はサブの顔をみてこういった。
「その男性っていうのは俺の親父で、女性は俺の母親なんだ。」
そういった俺自身鳥肌がたってしまった。しばらくの沈黙の後サブは重い空気を
かきかすかのごとく口を開いた。
「ハル。おまえそんな両親がつらい体験をしてたのか?・・・・なのに
おまえまるでその災難の再現がおまえにおころうとしてる
じゃないか。」
「まあ待ってくれ。」俺はサブの声をさえぎった。
「俺はな。死なせない。どんなことがあっても。どんなてぇ使ってもあいつ
を死なせない。それだけだ。」俺は怒りかどうかわからないが全身に力がみなぎるの
がわかった。
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翌日:AM10時
今日も、明昌大学は多くの学生で賑わっていた。
俺がキャンパスを歩いていると直哉がきた。
「よう!!!はる!」
「ういっす。」俺は笑顔で手を上げた。
「おまえ地元に戻ったんだって?なにしてきたんだよ。」
「まーいいじゃねーか。それより。おまえに聞きたいことがある。」
俺はそろそろ潮時だと思って例の件を切り出すことにした。
「なんだよ?あらたまってよ。」
「おまえ、ななみとつきあってんのか?」俺は直哉の目を直視して
言った。
しばらく、直哉は黙ったあと照れくさそうに言った。こういうときに
頭をぽりぽり掻くとこも昔から変わっていない。そんなやつをみて俺は
吹き出した。「まーな。つきあってるよ。」
「そっか。よかったじゃねーか。ゼミ同士だし仲良くな。」
そういって俺が立ち去ろうとすると後ろから直哉がこう言った。
「ハル!!負けんじゃねーぞ!知子はぜってー治って日本に
戻ってくる!!!」
俺は直哉のほうをみないでVサインをそら高くかざした。
to be continued…..
まあ俺の編集長のM氏の激励もあり水平線執筆
はしておりましたので続きを書きます。
個人的には昨日今日とバイトで忙しかったです。
代返してくれたOくんありがとね。
では続きです。
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水平線 第3話/「失くした物。真実の扉」 全5話
タバコに火をつけ目を細める俺。いつだってあいつは傍にいた。
渋谷を歩いているとどこからともなく冬の匂いがした。もうすぐ
冬が来る。世間ではクリスマスまでにシングルがいやだから彼女
彼氏が欲しいという話題で学内はもちきりだった。
俺には心のぽかんと開いた空洞のようなものがある。それが
なにかって?俺にもそれは分からない。ただ知子がアメリカにいって
からこの感覚は起こった。それも継続的にね。がらんとした4畳一間
の片隅に俺はうずくまっているような感じである。TVをつけっぱなし
にして、PCにきているメールをチェックしていると、チャイムが
なった。「ったく。誰だよ。」俺は眉間に皴を寄せてドアの穴をのぞき
こんだ。するとサブが身をかがめてたっていた。「ハル!いるんだろ?」
マンションに響き渡るくらい大声でやつはいった.あいつ!俺は恥ずかしい
のに絶えるのもいやなので、ドアをあけた。
サブは遠慮もなしにずかずかと俺の部屋にあがってきた。
「コーヒーでいいだろ?」俺は返事も確認しないままにカップをだす。
「なーハル。最近、おまえちょっとおかしいぜ?」
「なにがだよ。」俺はタバコを灰皿におしつけて言った。
「まーなんかわかんねーけど一人で何か背負い込んでる気がするな。」
サブが意外に観察力のある男だと2年の付き合いで今はじめてしった。
「そんなことねーよ。」俺は淹れたてのコーヒーを喉に押し込んで言った。
サブに心の中を見透かされている気がしてすこし動揺した。
俺は昔から強がって弱いところを人に見せない人間だった。
どうしても人に甘えることができないのだ。
「もっと素直になれよ。」サブは肩をすくめて言った。
「なぁサブ。お前は本当に好きな女が死んだらどうする?」
俺は唐突にそんなことをサブに聞いてみた。
「どーだろな。死んだらどーすることもできねーしな。」
愛するものとの死別という体験をしていない若者の俺たちには到底答えはでなかった。
しばらくたわいもない話をしていると、サブはこう言った。
「ハル、おまえ、ともこのこと忘れられないのか?」
いつになく真剣な表情だ。
「サブ。ちょっとした話をおまえに聞かせるよ。」サブはなんだよという
顔つきでこっちを見た。
「ある女は難病で死を迎えた。そしてその恋人の男は毎年ある場所を
訪れ彼女のことをおもうんだ。そうすると、なんとも悲しい気持ちに
なるんだが、彼女に会える気がするんだ。そしてその男性は10年後
にその彼女の発病のきっかけが病院の医療ミスで起こったことをひょんな
ことからカルテを見つけてしってしまうんだ。その男は病院を憎んだ。どうして
患者を取り違えるなんてありえないミスを起こしたんだって。」そこで俺は目を
ほそめタバコに火をつけた。サブは俺の話に聞き入っていた。
「彼は復讐に燃えた。そして裁判を起こしたが結局病院側の過失致死罪も一部しか
認められず、結果的に敗訴となったんだ。」そこで俺はサブの顔をみてこういった。
「その男性っていうのは俺の親父で、女性は俺の母親なんだ。」
そういった俺自身鳥肌がたってしまった。しばらくの沈黙の後サブは重い空気を
かきかすかのごとく口を開いた。
「ハル。おまえそんな両親がつらい体験をしてたのか?・・・・なのに
おまえまるでその災難の再現がおまえにおころうとしてる
じゃないか。」
「まあ待ってくれ。」俺はサブの声をさえぎった。
「俺はな。死なせない。どんなことがあっても。どんなてぇ使ってもあいつ
を死なせない。それだけだ。」俺は怒りかどうかわからないが全身に力がみなぎるの
がわかった。
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翌日:AM10時
今日も、明昌大学は多くの学生で賑わっていた。
俺がキャンパスを歩いていると直哉がきた。
「よう!!!はる!」
「ういっす。」俺は笑顔で手を上げた。
「おまえ地元に戻ったんだって?なにしてきたんだよ。」
「まーいいじゃねーか。それより。おまえに聞きたいことがある。」
俺はそろそろ潮時だと思って例の件を切り出すことにした。
「なんだよ?あらたまってよ。」
「おまえ、ななみとつきあってんのか?」俺は直哉の目を直視して
言った。
しばらく、直哉は黙ったあと照れくさそうに言った。こういうときに
頭をぽりぽり掻くとこも昔から変わっていない。そんなやつをみて俺は
吹き出した。「まーな。つきあってるよ。」
「そっか。よかったじゃねーか。ゼミ同士だし仲良くな。」
そういって俺が立ち去ろうとすると後ろから直哉がこう言った。
「ハル!!負けんじゃねーぞ!知子はぜってー治って日本に
戻ってくる!!!」
俺は直哉のほうをみないでVサインをそら高くかざした。
to be continued…..
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