第4話(3)「Fight for your light」
2005年11月29日-----------------------
BARを出るとそこには暗黙の世界が広がっていた。まさにこれはスラム街といわんばかり
の状態だ。黒いストリートには飢え死にしそうなもの、ヤク切れをおこして
痙攣しているやつ。このひんやりと冷たい空気の中で擦り切れたジーンズ
のまま俺は歩き出す。BARから漏れる喧騒はやがて遠ざかっていく。
大通りにでた。ブランドのフラッグショップがたっている。この路地裏と
大通りの格差はすごかった。アメリカの資本主義の縮図のような気がした。
競争に勝つもの、負けたもの。むこうではブランド物を身につけてLVに
はいっていくカップル。俺はこのなりでは門前払いだなと思いウィンドウ
ショッピングを楽しむ。人種のるつぼのこのストリートではみな個性的
なファッションに身を包んでいる。あてもなく俺はストリートを浮浪者
のように徘徊していた。
するとケータイがなった。ここはアメリカなのになぜ。と思い俺は
しばし戸惑いつつポケットを探る。ディスプレイをみるとレナだった。
俺は怪訝な表情で「もしもし。」と言う。
「春樹君?」
「おう。」俺は不思議な感覚に包まれながら答える。
「実は、私いまNYにいるの。」
「まじかよ。」俺はあまりにも唐突な出来事に耳を疑う。
「前言ったけどさ。ほら。お父さん外資系だから今NYにいるの。
それで、こないだ春樹君にあのこと話してきっちりお父さんと
話し合いたいと思ってこの冬休み中にいこうと思ってて。
春樹君もアメリカにいくって
いってたからね。もしかしてつながるかなと思ったの。突然ごめんね。」一応お互いヴォーダフォンだったのでケータイは
通じたというわけだ。
「なるどほどね。」俺は受話器越しにうなずきな
がらいった。そしてこう付け加えた。
「レナ。ちゃんといってこいよ。いままで溜め込んでたこと。」
「・・・・うん。ありがとう。」
「なんかあればまた電話しろよな。」俺は穏やかに言った。
-----------------------------------------
翌日。こっちに来て日課になった知子との面会。
もうあの日にはもどれないのだろうか。
手を握り締めても声をかけても反応はない。
ベッドの横の椅子に座って知子の寝顔を静寂
の中で俺は見つめていた。
そのとき、ノックがした。俺が返事をするとICUの例の重く分厚い
扉が開きがしゃんと閉じる。何度聞いてもこの音は俺に不快感を
与える。それはDr.コヴィー氏だった。Drは話があると俺に言った。
静かに強い口調で。まっすぐ俺はDrの目をみた。
Drが言った。メディカルスクールの中でもまだ臨床段階の最先端の
技術を凝縮した手術を知子にうけさせないかと。さらにDrは続ける。
この手術は成功率が2割。大脳から運動筋へいく情報を阻害する神経
をねこそぎ切除するのだ。成功すれば日常生活に支障をきたさない
程度にまで回復すると言った。しかし、失敗すれば。。
Drはそこで一呼吸おいた。そしてDrはこう続けた。
知子は永遠に帰らぬ人となるだろうと。
--------------------------------
俺は迷い続けた。知子に意識があれば確認がとれるのに。
俺が決めてしまっていいのか。両親は音信普通という状態で
すべて判断は俺にゆだねられていた。
一体どうすれば。。しかし、このままいっても一生知子は植物
人間状態なのだ。
俺は病院の屋上へいった。緑豊かな素晴らしい景色が広がっていた。
タバコに火をつける。そして俺はベンチに寝そべった。
いつの間にDrが横に立っていた。
「人間は決断しなければならないときが来る。春樹。君のもっとも
愛し愛されている人の重大な決断をするのは厳しいだろう。でもこれは君たち
二人の闘いであり、われわれは手術という医療行為しかできない。」
Drは屋上の柵をつかみ遠くを見つめていった。
「あのコを救えるのは、春樹。君しだいだ。」Drは俺のほうを振り返り
笑顔をみせて去っていった。
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PM6時
屋上で散々頭を抱えて俺は悩み続けた。
まるで考える人になったかのように。
失敗したらどうするんだ。。俺は一生
後悔することになるんだ。手術をしなけれ
ば治ることもないが死ぬこともない。
だが人間らしい生活を送れない。
「知子。。。おまえならどーすんだよ。」
俺は昔のあいつとの会話を思い返しながらそう
吐き出した。
ポケットのケータイのバイブ振動が脚に伝わった。
レナか!?俺はケータイをすぐさま出した。
通話ボタンをおすとレナが息をきらして受話器
にでる。
「春樹君!!お願い。来てほしいの。こっちに。」
NYに独りぼっちのレナの声はか細かった。
俺はわかったといい地下鉄へと向かった。
To be continued…..
BARを出るとそこには暗黙の世界が広がっていた。まさにこれはスラム街といわんばかり
の状態だ。黒いストリートには飢え死にしそうなもの、ヤク切れをおこして
痙攣しているやつ。このひんやりと冷たい空気の中で擦り切れたジーンズ
のまま俺は歩き出す。BARから漏れる喧騒はやがて遠ざかっていく。
大通りにでた。ブランドのフラッグショップがたっている。この路地裏と
大通りの格差はすごかった。アメリカの資本主義の縮図のような気がした。
競争に勝つもの、負けたもの。むこうではブランド物を身につけてLVに
はいっていくカップル。俺はこのなりでは門前払いだなと思いウィンドウ
ショッピングを楽しむ。人種のるつぼのこのストリートではみな個性的
なファッションに身を包んでいる。あてもなく俺はストリートを浮浪者
のように徘徊していた。
するとケータイがなった。ここはアメリカなのになぜ。と思い俺は
しばし戸惑いつつポケットを探る。ディスプレイをみるとレナだった。
俺は怪訝な表情で「もしもし。」と言う。
「春樹君?」
「おう。」俺は不思議な感覚に包まれながら答える。
「実は、私いまNYにいるの。」
「まじかよ。」俺はあまりにも唐突な出来事に耳を疑う。
「前言ったけどさ。ほら。お父さん外資系だから今NYにいるの。
それで、こないだ春樹君にあのこと話してきっちりお父さんと
話し合いたいと思ってこの冬休み中にいこうと思ってて。
春樹君もアメリカにいくって
いってたからね。もしかしてつながるかなと思ったの。突然ごめんね。」一応お互いヴォーダフォンだったのでケータイは
通じたというわけだ。
「なるどほどね。」俺は受話器越しにうなずきな
がらいった。そしてこう付け加えた。
「レナ。ちゃんといってこいよ。いままで溜め込んでたこと。」
「・・・・うん。ありがとう。」
「なんかあればまた電話しろよな。」俺は穏やかに言った。
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翌日。こっちに来て日課になった知子との面会。
もうあの日にはもどれないのだろうか。
手を握り締めても声をかけても反応はない。
ベッドの横の椅子に座って知子の寝顔を静寂
の中で俺は見つめていた。
そのとき、ノックがした。俺が返事をするとICUの例の重く分厚い
扉が開きがしゃんと閉じる。何度聞いてもこの音は俺に不快感を
与える。それはDr.コヴィー氏だった。Drは話があると俺に言った。
静かに強い口調で。まっすぐ俺はDrの目をみた。
Drが言った。メディカルスクールの中でもまだ臨床段階の最先端の
技術を凝縮した手術を知子にうけさせないかと。さらにDrは続ける。
この手術は成功率が2割。大脳から運動筋へいく情報を阻害する神経
をねこそぎ切除するのだ。成功すれば日常生活に支障をきたさない
程度にまで回復すると言った。しかし、失敗すれば。。
Drはそこで一呼吸おいた。そしてDrはこう続けた。
知子は永遠に帰らぬ人となるだろうと。
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俺は迷い続けた。知子に意識があれば確認がとれるのに。
俺が決めてしまっていいのか。両親は音信普通という状態で
すべて判断は俺にゆだねられていた。
一体どうすれば。。しかし、このままいっても一生知子は植物
人間状態なのだ。
俺は病院の屋上へいった。緑豊かな素晴らしい景色が広がっていた。
タバコに火をつける。そして俺はベンチに寝そべった。
いつの間にDrが横に立っていた。
「人間は決断しなければならないときが来る。春樹。君のもっとも
愛し愛されている人の重大な決断をするのは厳しいだろう。でもこれは君たち
二人の闘いであり、われわれは手術という医療行為しかできない。」
Drは屋上の柵をつかみ遠くを見つめていった。
「あのコを救えるのは、春樹。君しだいだ。」Drは俺のほうを振り返り
笑顔をみせて去っていった。
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PM6時
屋上で散々頭を抱えて俺は悩み続けた。
まるで考える人になったかのように。
失敗したらどうするんだ。。俺は一生
後悔することになるんだ。手術をしなけれ
ば治ることもないが死ぬこともない。
だが人間らしい生活を送れない。
「知子。。。おまえならどーすんだよ。」
俺は昔のあいつとの会話を思い返しながらそう
吐き出した。
ポケットのケータイのバイブ振動が脚に伝わった。
レナか!?俺はケータイをすぐさま出した。
通話ボタンをおすとレナが息をきらして受話器
にでる。
「春樹君!!お願い。来てほしいの。こっちに。」
NYに独りぼっちのレナの声はか細かった。
俺はわかったといい地下鉄へと向かった。
To be continued…..
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