第5話「嵐のような日々」
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俺は、日本に一時的に戻った。
レナをこのままNYの街へ置き去りにすれば間違いなく
DRUGに走るだろうと思ったからだ。
彼女にはケアが必要だと俺は判断した。
しかし知子のことも、放っておけないので俺は長居をする
つもりはなかった。
ケータイをポケットから取り出し、電話帳から直哉の
番号を映し出す。直哉は4回目の呼び出し音で出た。
少し、眠たそうな声だった。
「もしもし。春樹だ。」
「・・。おーハル。しばらくぶりだな。」
「直哉、おまえに頼みがあるんだ。俺のアパートに
レナが今いる。レナの様子をちょくちょくみにきてくれ
ないか?」タバコに火をつけ俺は言った。久々の東京の
空気を吸い込んだ。
「・・・・・。そうか。わかった。ななみに誤解のないように
一言おまえからいっといてくれよな。」
「もちろんだ。ありがとう。すまないな。」
そういって俺は通話ボタンを切った。
目を静かに閉じる。そこにはNYの狂ったストリート
はもう映し出されていなかった。
俺のベッドにはレナがぐったりと寝ていた。
しなやかな肢体。まったく無防備で足を投げ出している。
「ったく。。人の気もしらねーでよ。」
俺はしょうがねーなぁと安堵のため息をついた。
ふと窓の外をみる。ジャンボジェット機が離陸していった。
いつか俺もあんな風に自由に空を飛ぶことができればな。
そういって紙ひこーきを投げた。無造作に飛行機は飛んでいった。
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ベルが鳴った。
出てみると直哉だった。
ななみもいっしょだ。
「よう。」俺は笑顔でチェーンをはずす。
「ひさしぶり。」直哉はななみを連れて玄関に入った。
「今コーヒーだすから待ってて。」
「ハル。おまえ、相沢とつきあってんのか?」
直哉はそう口を開く。
二人は俺のベッドにつっぷしているレナを見て絶句していた。
キッチン越しに俺はそんな二人を見ていたが
何も言わずにやりすごした。
レコードに流れる昔懐かしの曲。この曲はなんだっけな。
そうそう。ビートルズの、NO WHERE MANだ。
俺は落ち込んだときこのレコードをかけるのだ。
「付き合ってねえよ。」
付き合ってるっていうのはどこからが付き合ってるっていうんだろうか。
ふと俺は思う。付き合ってください。といっていいよ。と言われたら
二人は付き合ってることになるんだろうか。あるいはキスをしたときから?
手をつないだときから?いやいやそんなものじゃなくて心が通じたときからだろ
というロマンチストもいるだろう。
今日は心が軽かった。俺は三人を残してコンビニへ買い出しへと向かった。
久々の渋谷。センター街。流行のファッションに身をつつむ若者たち。
やはり日本にいるということが俺を癒しへと導く。
やるせないような孤独感は和らいでいく。
―えっと。直哉がすきなのは、マカダミア。ななみがすきなのは、
チーズビット。レナがすきなのは・・・レナが好きなもの。
俺は何故かそこで胸の鼓動が高鳴っているのに感づいた。
俺自身の中でなにか分裂しているというか心臓だけ誰かに操られている
感覚に襲われる。あいつの好きなものってなんなんだ。
俺は店員にありがとうといってコンビニ袋をひっさげた。
寒さが身にしみる。身をちじこまらせて歩く。
「ハル!」後ろから肩に手をかけてくる。
振り返るとサブが笑顔でたっていた。
「久しぶりだな。」サブは何一つかわらることなくいつものお調子者の
オーラを放っていた。そんなやつのオーラが俺はすきだった。
久々にこの空気感に包まれて俺は笑顔で
「おっす。」と返した。
いつも変わらない事ってなんだろう。それは、人との繋がりだろう。
時代が変わってもかわりつづけないもの。
「ハル、NYでいろいろあったみたいだな。春樹からきいたぜ。」
「まあな。」
「久々におまえ飲みにいこうぜ。」サブは俺を誘ってくる。
俺は自分のアパートに3人を待たせていることを言った。
そしてこう付け加えた。
「よかったらサブ。俺のアパートでみんなで飲まないか?」
「へっへ。そうくるとおもってたぜ。」
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自宅に戻るとレナは起きて三人と何やら話していた。
どうやらあまり記憶がないらしい・・・
「みんな、サブ君のおでましですよー!」
俺はそう声を張り上げた。
しらーーっとするみんな。
「おいおい!なんだよ!せっかくきてやったのによ!」
ぷっと吹き出す直哉。
「俺のハーレムを邪魔すんじゃねーよ。」
直哉は早く来いよというジェスチャーをして言った。
鼻くそ事件やらなにやら語り明かした。
久々みんなで水いらずで語り明かす夜は最高だった。
友達がこんなにも俺の支えになってるなんてと密かに
俺は思った。鍋の肉の取り合い合戦が終わるとサブは
酔いつぶれていた。直哉とななみはふたりの世界に
はいっていた。
「ったく。ラブラブするんなら家へ帰れよな!」サブは
冗談ぽく言う。
「サブ。おまえにも実は春が近づいてるぞ。」俺はそういって
ケータイを開いてみせた。
それはあるメールだ。それは明昌大学の文学部英文科の
岡橋 潤子だった。通称オカジュン。オカジュンはサブに
惚れているようで俺に彼女がいないか聞いてほしいという
メールをよこしたのだ。
サブはそれをしって一人で飛び跳ねていた。
潤子は少し、時代遅れのファッションだったが、なかなか
綺麗なこだった。性格も俺の知っている限りでは気を遣う
いいこだったと記憶している。
みんなそれぞれの道を進んでるなと思い俺は微笑んだ。
ふとレナのほうをみるといつもの笑顔でサブと話している。
俺はそんなレナの横顔をみて言った。
「あーー!誰だ!俺の残してたコーラ全部飲んだやつ!!」
その声は今年一番の明るさを帯びていた。
俺は束の間の帰国での、楽しいひと時をみんなと共有していた。
サブエンディング曲:「SO WHY SO SAD」
BY マニックス To be continued….
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俺は、日本に一時的に戻った。
レナをこのままNYの街へ置き去りにすれば間違いなく
DRUGに走るだろうと思ったからだ。
彼女にはケアが必要だと俺は判断した。
しかし知子のことも、放っておけないので俺は長居をする
つもりはなかった。
ケータイをポケットから取り出し、電話帳から直哉の
番号を映し出す。直哉は4回目の呼び出し音で出た。
少し、眠たそうな声だった。
「もしもし。春樹だ。」
「・・。おーハル。しばらくぶりだな。」
「直哉、おまえに頼みがあるんだ。俺のアパートに
レナが今いる。レナの様子をちょくちょくみにきてくれ
ないか?」タバコに火をつけ俺は言った。久々の東京の
空気を吸い込んだ。
「・・・・・。そうか。わかった。ななみに誤解のないように
一言おまえからいっといてくれよな。」
「もちろんだ。ありがとう。すまないな。」
そういって俺は通話ボタンを切った。
目を静かに閉じる。そこにはNYの狂ったストリート
はもう映し出されていなかった。
俺のベッドにはレナがぐったりと寝ていた。
しなやかな肢体。まったく無防備で足を投げ出している。
「ったく。。人の気もしらねーでよ。」
俺はしょうがねーなぁと安堵のため息をついた。
ふと窓の外をみる。ジャンボジェット機が離陸していった。
いつか俺もあんな風に自由に空を飛ぶことができればな。
そういって紙ひこーきを投げた。無造作に飛行機は飛んでいった。
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ベルが鳴った。
出てみると直哉だった。
ななみもいっしょだ。
「よう。」俺は笑顔でチェーンをはずす。
「ひさしぶり。」直哉はななみを連れて玄関に入った。
「今コーヒーだすから待ってて。」
「ハル。おまえ、相沢とつきあってんのか?」
直哉はそう口を開く。
二人は俺のベッドにつっぷしているレナを見て絶句していた。
キッチン越しに俺はそんな二人を見ていたが
何も言わずにやりすごした。
レコードに流れる昔懐かしの曲。この曲はなんだっけな。
そうそう。ビートルズの、NO WHERE MANだ。
俺は落ち込んだときこのレコードをかけるのだ。
「付き合ってねえよ。」
付き合ってるっていうのはどこからが付き合ってるっていうんだろうか。
ふと俺は思う。付き合ってください。といっていいよ。と言われたら
二人は付き合ってることになるんだろうか。あるいはキスをしたときから?
手をつないだときから?いやいやそんなものじゃなくて心が通じたときからだろ
というロマンチストもいるだろう。
今日は心が軽かった。俺は三人を残してコンビニへ買い出しへと向かった。
久々の渋谷。センター街。流行のファッションに身をつつむ若者たち。
やはり日本にいるということが俺を癒しへと導く。
やるせないような孤独感は和らいでいく。
―えっと。直哉がすきなのは、マカダミア。ななみがすきなのは、
チーズビット。レナがすきなのは・・・レナが好きなもの。
俺は何故かそこで胸の鼓動が高鳴っているのに感づいた。
俺自身の中でなにか分裂しているというか心臓だけ誰かに操られている
感覚に襲われる。あいつの好きなものってなんなんだ。
俺は店員にありがとうといってコンビニ袋をひっさげた。
寒さが身にしみる。身をちじこまらせて歩く。
「ハル!」後ろから肩に手をかけてくる。
振り返るとサブが笑顔でたっていた。
「久しぶりだな。」サブは何一つかわらることなくいつものお調子者の
オーラを放っていた。そんなやつのオーラが俺はすきだった。
久々にこの空気感に包まれて俺は笑顔で
「おっす。」と返した。
いつも変わらない事ってなんだろう。それは、人との繋がりだろう。
時代が変わってもかわりつづけないもの。
「ハル、NYでいろいろあったみたいだな。春樹からきいたぜ。」
「まあな。」
「久々におまえ飲みにいこうぜ。」サブは俺を誘ってくる。
俺は自分のアパートに3人を待たせていることを言った。
そしてこう付け加えた。
「よかったらサブ。俺のアパートでみんなで飲まないか?」
「へっへ。そうくるとおもってたぜ。」
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自宅に戻るとレナは起きて三人と何やら話していた。
どうやらあまり記憶がないらしい・・・
「みんな、サブ君のおでましですよー!」
俺はそう声を張り上げた。
しらーーっとするみんな。
「おいおい!なんだよ!せっかくきてやったのによ!」
ぷっと吹き出す直哉。
「俺のハーレムを邪魔すんじゃねーよ。」
直哉は早く来いよというジェスチャーをして言った。
鼻くそ事件やらなにやら語り明かした。
久々みんなで水いらずで語り明かす夜は最高だった。
友達がこんなにも俺の支えになってるなんてと密かに
俺は思った。鍋の肉の取り合い合戦が終わるとサブは
酔いつぶれていた。直哉とななみはふたりの世界に
はいっていた。
「ったく。ラブラブするんなら家へ帰れよな!」サブは
冗談ぽく言う。
「サブ。おまえにも実は春が近づいてるぞ。」俺はそういって
ケータイを開いてみせた。
それはあるメールだ。それは明昌大学の文学部英文科の
岡橋 潤子だった。通称オカジュン。オカジュンはサブに
惚れているようで俺に彼女がいないか聞いてほしいという
メールをよこしたのだ。
サブはそれをしって一人で飛び跳ねていた。
潤子は少し、時代遅れのファッションだったが、なかなか
綺麗なこだった。性格も俺の知っている限りでは気を遣う
いいこだったと記憶している。
みんなそれぞれの道を進んでるなと思い俺は微笑んだ。
ふとレナのほうをみるといつもの笑顔でサブと話している。
俺はそんなレナの横顔をみて言った。
「あーー!誰だ!俺の残してたコーラ全部飲んだやつ!!」
その声は今年一番の明るさを帯びていた。
俺は束の間の帰国での、楽しいひと時をみんなと共有していた。
サブエンディング曲:「SO WHY SO SAD」
BY マニックス To be continued….
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