第5話(4)〜(6)
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嘉人は何事もなかったかのようにダンスの練習へ
戻っていった。
ざわめく街が眠りにつくころ俺は起きだす。
狂った街が平和になるころ俺は革命を起こす。
俺はもう走り出していた。
渋谷センター街の裏路地にある風俗街だ。
俺は客引きの青年をおしのけて中に入って
ある男の前まで来ていた。
そして俺はその男を力の限りぶん殴った。
男は女とじゃれあっている中で、情けないことにひっくり
返った。
「いやぁあん時は、ご丁寧に。」俺は力いっぱい拳をふりあげて
もう一発そのオヤジを殴った。
オヤジは情けない面でもうやめてくれといわんばかりに
膨れ上がった下腹を突き出した。
「あんときの痛みはまだわすれてねーぞ!こらぁ!」
俺は完全に怒りを噴出させていた。
「立てやこらぁ!!!!」
その風俗店は徐々に騒ぎが大きくなるにつれ人だかりが
できてきた。
「・・・ゆ・ゆるしてくれ」オヤジは泣きそうな声でそう
懇願した。
「ゆるしてくれだと!?ふざけんな!俺は殺されかけだ」
俺は力いっぱい殴り続けた。オヤジはサンドバッグのように
崩れた。
そう。レナが視界から消えてすべてが灰色に化したときに
俺を刺したオヤジがいうまでもなくこいつだ。
「そろそろ、自首したらどーですか。
教授。」俺は怒りをかみ殺して言った。
周りのものや風俗嬢たちは自体が飲み込めず震えている。
「もうわかってんだよ。あんたが相沢 レナをつけまわして
俺を刺したこともね。」
そういって俺は一枚の紙を出した。レナのケータイに残って
いた着信履歴から割り出した教授のケータイ履歴と、教授
が以前からレナにセクハラしていた証言、そしてこれが一番
悲痛だった。俺がレナを泊めた時に彼女から語られた言葉達。
彼女は分かっていたのだ。誰に付けまわされているかも。
それを当たり障りのない表現で喩えていたが俺は徐々に
繋がっていった。そして嘉人から教授の話を聞いて俺は
確信を得た。
「おまえ。。明昌大学の生徒だろ。こんなことをして
いいとおもってるのか・・・」教授は情けない捨て台詞
を吐いた。
俺は、警察に事情聴取を受けることになった。
センター街の路地裏の飲食店で起きた暴力事件。
翌日の読買新聞の一面の隅にはそうのっていた。
そして俺は逮捕された。
スーツケースは押収された。
そして、教授のセクハラ、猥褻行為での検挙も決まり
追加の余罪として大学内での横領事件も新たに浮上した。
これは後日家宅捜索で分かったことだが、
教授のアパート宅では
何千もの卑猥な動画がでてきたそうだ。
レナの写真もたくさん押収された。
レナが性的関係を強要されていたことも新たに分かった。
これだけ腐ったやつを殴ったわけだが、俺も傷害罪で
拘留された。
「ほんと、情けねえよ。」俺は相部屋の豚箱に押し込まれ
られながら言った。
すでに入ってるやつは、婦女暴行で捕まったやつだ。
女や弱いものを狙ったやつ、変態、痴漢などで捕まった
囚人は決まっていじめの対象となる。
俺の相部屋のやつも食事の時間などに大男に連れて行かれて
いった。悲鳴が聞こえたが俺にはどうすることもできなかった
し、捕まえられた卑劣な行為を思うとさほど胸は痛まなかった。
俺は獄中で、知子宛に手紙を書いた。
そしてDR.コヴィーにも。
その内容は知子に手術をうけさせてほしいと
いうものだ。
知子にもう一度元気になってもらいたいと思い、
悩んだ末出した結論だった。
刑務所の生活はきついものだった。
まずどうやったらいじめの対象にならないかの考えに
凌ぎをけずっていた。リーダー格のやつらに目をつけられず
タバコを献上したりした。
一番苦痛なのが、共同作業の時間だ。
へまをすれば必ず、密告でリーダーにちくられる。
出すぎず、消しすぎずのオーラだしは非常に難しかった。
「あんなくそオヤジのために3ヶ月も刑務所にはいらな
いといけねーのか。」俺は気が遠くなりそうだった。
ム所にはいって3週間がたったころだろうか。
看守が面会人がきていると言うので行ってみると
面会所にはレナが来ていた。
俺は椅子に座って言った。
「なんできた?」
レナは黙りこくったままだった。
「なんであの教授につけられてるっていわなかった?」
「だまってんじゃねーよ!!」
俺はガラス越しに声を張り上げた。
「わかってたんじゃねーのか?なぁ。
どーして俺にいわねーんだよ。」
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「春樹君にはいえなかったけどね。。
私、園田教授と付き合ってたの。
実は私が高校生のころオープンキャンパスで
園田教授と知り合って。」
俺はあまりにも衝撃的な言葉に耳を疑った。
「それで、私そのとき教授がカウンセリングの
モデルになってほしいっていわれて。カウンセリングを
うけていたの。・・・それでだんだん彼に惹かれていって。
最初はよかったけど段々弄ばれてるってわかってたけど、
私は、それでよかったの。・・でもある日別れを切り出したら
教授が目の色を変えて私を付け回すようになって・・
誰かに言ったら殺すとまでいわれてて。。」
俺はふぅとため息をついた。
「いいか。。。おまえ二度と俺にキスなんか
するんじゃねーぞ!!」
俺はそこまでいって面会室のドアをばん!!!と音を
たてて閉めた。
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レナはそれっきりこなくなった。教授は責任をとって
辞職して逮捕されたそうだ。
「ったく。ふざけんなよ。。」
俺は予想だにしない展開に苛立っていた。
そして刑務所の昼飯のまずさにうんざりしていた。
朝5時になると看守がおきろおきろと巡回してくる。
起きなければすぐに独房いきだ。
独房だけは避けたかった。
生きた心地がしない。
そんな獄中生活だったが俺の部屋のやつがアザだらけに
なっていたのでさすがに俺は
「大丈夫か。」と声をかけた。
やつはどこをみるでもなく訳の分からない事をぶつぶついって
いた。
こいつと関わるのはやめようと思った。
「ふぅ。。」朝の仕事が終わると、俺はつかれきって
昼飯にありついた。1ヶ月たったがほんとに飯のまずさには
驚くが、そんな飯さえ楽しみになってくるほど俺はいかれて
いた。そう。俺はもうクレイジーそのものだった。
あんなくそオヤジ殴らなきゃよかったぜ。
だいたい、レナの話にも幻滅した。
何が園田教授と付き合っていた。だ。
ふざけんじゃねーよ。。。
俺は心のどこかで焼いてる自分がいないでもなかった
ことを感じていた。そんな自分にますます自己嫌悪を
抱く。例のいじめられっこが食堂に顔をだした。
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嘉人は何事もなかったかのようにダンスの練習へ
戻っていった。
ざわめく街が眠りにつくころ俺は起きだす。
狂った街が平和になるころ俺は革命を起こす。
俺はもう走り出していた。
渋谷センター街の裏路地にある風俗街だ。
俺は客引きの青年をおしのけて中に入って
ある男の前まで来ていた。
そして俺はその男を力の限りぶん殴った。
男は女とじゃれあっている中で、情けないことにひっくり
返った。
「いやぁあん時は、ご丁寧に。」俺は力いっぱい拳をふりあげて
もう一発そのオヤジを殴った。
オヤジは情けない面でもうやめてくれといわんばかりに
膨れ上がった下腹を突き出した。
「あんときの痛みはまだわすれてねーぞ!こらぁ!」
俺は完全に怒りを噴出させていた。
「立てやこらぁ!!!!」
その風俗店は徐々に騒ぎが大きくなるにつれ人だかりが
できてきた。
「・・・ゆ・ゆるしてくれ」オヤジは泣きそうな声でそう
懇願した。
「ゆるしてくれだと!?ふざけんな!俺は殺されかけだ」
俺は力いっぱい殴り続けた。オヤジはサンドバッグのように
崩れた。
そう。レナが視界から消えてすべてが灰色に化したときに
俺を刺したオヤジがいうまでもなくこいつだ。
「そろそろ、自首したらどーですか。
教授。」俺は怒りをかみ殺して言った。
周りのものや風俗嬢たちは自体が飲み込めず震えている。
「もうわかってんだよ。あんたが相沢 レナをつけまわして
俺を刺したこともね。」
そういって俺は一枚の紙を出した。レナのケータイに残って
いた着信履歴から割り出した教授のケータイ履歴と、教授
が以前からレナにセクハラしていた証言、そしてこれが一番
悲痛だった。俺がレナを泊めた時に彼女から語られた言葉達。
彼女は分かっていたのだ。誰に付けまわされているかも。
それを当たり障りのない表現で喩えていたが俺は徐々に
繋がっていった。そして嘉人から教授の話を聞いて俺は
確信を得た。
「おまえ。。明昌大学の生徒だろ。こんなことをして
いいとおもってるのか・・・」教授は情けない捨て台詞
を吐いた。
俺は、警察に事情聴取を受けることになった。
センター街の路地裏の飲食店で起きた暴力事件。
翌日の読買新聞の一面の隅にはそうのっていた。
そして俺は逮捕された。
スーツケースは押収された。
そして、教授のセクハラ、猥褻行為での検挙も決まり
追加の余罪として大学内での横領事件も新たに浮上した。
これは後日家宅捜索で分かったことだが、
教授のアパート宅では
何千もの卑猥な動画がでてきたそうだ。
レナの写真もたくさん押収された。
レナが性的関係を強要されていたことも新たに分かった。
これだけ腐ったやつを殴ったわけだが、俺も傷害罪で
拘留された。
「ほんと、情けねえよ。」俺は相部屋の豚箱に押し込まれ
られながら言った。
すでに入ってるやつは、婦女暴行で捕まったやつだ。
女や弱いものを狙ったやつ、変態、痴漢などで捕まった
囚人は決まっていじめの対象となる。
俺の相部屋のやつも食事の時間などに大男に連れて行かれて
いった。悲鳴が聞こえたが俺にはどうすることもできなかった
し、捕まえられた卑劣な行為を思うとさほど胸は痛まなかった。
俺は獄中で、知子宛に手紙を書いた。
そしてDR.コヴィーにも。
その内容は知子に手術をうけさせてほしいと
いうものだ。
知子にもう一度元気になってもらいたいと思い、
悩んだ末出した結論だった。
刑務所の生活はきついものだった。
まずどうやったらいじめの対象にならないかの考えに
凌ぎをけずっていた。リーダー格のやつらに目をつけられず
タバコを献上したりした。
一番苦痛なのが、共同作業の時間だ。
へまをすれば必ず、密告でリーダーにちくられる。
出すぎず、消しすぎずのオーラだしは非常に難しかった。
「あんなくそオヤジのために3ヶ月も刑務所にはいらな
いといけねーのか。」俺は気が遠くなりそうだった。
ム所にはいって3週間がたったころだろうか。
看守が面会人がきていると言うので行ってみると
面会所にはレナが来ていた。
俺は椅子に座って言った。
「なんできた?」
レナは黙りこくったままだった。
「なんであの教授につけられてるっていわなかった?」
「だまってんじゃねーよ!!」
俺はガラス越しに声を張り上げた。
「わかってたんじゃねーのか?なぁ。
どーして俺にいわねーんだよ。」
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「春樹君にはいえなかったけどね。。
私、園田教授と付き合ってたの。
実は私が高校生のころオープンキャンパスで
園田教授と知り合って。」
俺はあまりにも衝撃的な言葉に耳を疑った。
「それで、私そのとき教授がカウンセリングの
モデルになってほしいっていわれて。カウンセリングを
うけていたの。・・・それでだんだん彼に惹かれていって。
最初はよかったけど段々弄ばれてるってわかってたけど、
私は、それでよかったの。・・でもある日別れを切り出したら
教授が目の色を変えて私を付け回すようになって・・
誰かに言ったら殺すとまでいわれてて。。」
俺はふぅとため息をついた。
「いいか。。。おまえ二度と俺にキスなんか
するんじゃねーぞ!!」
俺はそこまでいって面会室のドアをばん!!!と音を
たてて閉めた。
------------------
レナはそれっきりこなくなった。教授は責任をとって
辞職して逮捕されたそうだ。
「ったく。ふざけんなよ。。」
俺は予想だにしない展開に苛立っていた。
そして刑務所の昼飯のまずさにうんざりしていた。
朝5時になると看守がおきろおきろと巡回してくる。
起きなければすぐに独房いきだ。
独房だけは避けたかった。
生きた心地がしない。
そんな獄中生活だったが俺の部屋のやつがアザだらけに
なっていたのでさすがに俺は
「大丈夫か。」と声をかけた。
やつはどこをみるでもなく訳の分からない事をぶつぶついって
いた。
こいつと関わるのはやめようと思った。
「ふぅ。。」朝の仕事が終わると、俺はつかれきって
昼飯にありついた。1ヶ月たったがほんとに飯のまずさには
驚くが、そんな飯さえ楽しみになってくるほど俺はいかれて
いた。そう。俺はもうクレイジーそのものだった。
あんなくそオヤジ殴らなきゃよかったぜ。
だいたい、レナの話にも幻滅した。
何が園田教授と付き合っていた。だ。
ふざけんじゃねーよ。。。
俺は心のどこかで焼いてる自分がいないでもなかった
ことを感じていた。そんな自分にますます自己嫌悪を
抱く。例のいじめられっこが食堂に顔をだした。
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