第5話 シーン7〜8
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俺の相部屋のいじめられっ子は
いつも通りどこに視線を合わせているかも
わからず青白い顔で昼飯を食べていた。
食器に顔を近づけて犬のような汚い食べ方をしている。
俺は水をいれようとコップを取り席を
たつ。すると、いじめられっこの周りにぞろぞろと
人だかりがでてまた裏へと連れ出されている。
アザだらけの腕を引っ張られて。
看守もきづいているがやはり見て見ぬふりだ。
俺は傍観者。俺のしったこっちゃない。
そう思い、食器を返却口へと戻すと振り返ることも
なく自分の豚箱へ戻る。それが俺の日課だった。
あいつを助けるとかそんな思考はなかった。
部屋に戻って俺は手紙を読んでいた。手術の経過
などに俺は眉間に皺を寄せながら頭をかきむしる。
ぽとっ。この世で意識しなければおれ以外の人間には
聞き取れないほど微かな音をたててなにやら物が落ちる
のを聞き取る。
俺は音のしたほうへ近づく。
音の主は、茶色い封筒だった。埃をかぶっている
その茶封筒は数週間前にはあったものと思われる。
「これはなんなんだろう。」俺は妙な心境に胸の中が
ざわつく。誰も見ていないのを確かめると俺は急いでその
茶封筒をはさみで切り出す。
ひらひらと中身が落ちる。
その文面は。。
なんだ。。これ。マジかよ。。
俺は思わず声を漏らしそうになる。
「こつっ
こつっ。」看守が見回りに来る。俺は急いで紙を
ポケットに押し込む。
看守が去って行くのを見計らうと俺は、急いで食堂
へ引き返す。
裏にも回るが、人影がない。寂しく木の葉が舞っている
だけ。俺の囚人の知り合いに聞いても知らないという。
一歩遅かったか。。
俺は脱力感に襲われるのを感じた。
午後の共同作業が開始されてもやつの姿はない。
終礼になってようやくいじめられっこの話が出た。
看守は鬼のような声でいった。「どこにいるんだ!!!
さぼってんじゃねーぞ!!!」
ざわめく中ひきつった表情で、いじめの主犯の男が
看守になにやら言った。
看守は表情がゆがんだ。看守らは一目散に表へ飛び出ていった。
俺はその後を息を切らしながら必死で追った。
そしてたどり着いたところでまっていたものは。。。
やつの力なく垂れ下がった塊と化した死体だった・・・・
独房の前にある昔拷問に使って
いたという絞首台を使ってやつは自殺した・・・・・
すべては後の祭りだった。さすがにいじめていたやつも
自責の表情を浮かべている。
俺は、やつの無残な死を無駄にすることはできないと
思い、例の茶封筒を看守に渡して読むようにと言った。
終礼でその文面は読まれた。
それは遺書としてやつが書いたものだった。
あいつは婦女暴行で捕まった。しかもまだ無力な
少女を狙ったというきわめて残忍な事件だ。
それが俺たちのあいつを認識する唯一の方法。
でもやつの遺書でやつの心の中が叫ばれていた。
「僕は、やってない。僕は婦女暴行で捕まったけど
あれは、同じ高校のやつらがやった後に僕を呼び出し
僕がしたように責任をなすりつけたんだ!
母親も父親も妹も愛想をつかし僕を、粗大ごみかのような
目でっみて嘲笑した。こんな息子を育ててきたのかという
軽蔑の目だ。僕は無実で潔白だ。
少なからずともまじめにいきてきた18年間だった。。
でも、刑務所でも暴行されもう生きるのに疲れました。」
そう書きなぐるようにやつは遺書に記した。
その文面の発覚により、やつの地元の長野県警のずさんな
捜査体制が浮き彫りになり、警視庁は、再捜査グループを
新たに作り、すでに解決したとされるこの連続婦女暴行
事件の再捜査が行わるに至った。
そのかいあってか少女の遺体
を解剖班が緻密に捜査したところ
別のDNAがでてきたという。
やつのDNA
は一部から高濃度で検出されたため、さまざまな箇所から
とても微量に出てきたため見失っていた
DNAと違い第三者により意図的に少女に
やつの体液を付着させた。という見解をだしやつは
冤罪だということがわかったのだ。
やつの遺書で記されていた責任をなすりつけたというグループ
に職務質問をしたところ自首したそうだ。
ぽっかりと空白になった俺の相部屋。
明後日には新しいやつがはいってくるらしい。
いつもぶつぶつ何かを呟き恐ろしい目をしていたやつは
自分の潔白を証明するだけの力が残っていなかったんだろう。
現実を目の当たりにした俺。見て見ぬふりをしてきた俺は
急に自分自身が情けなく感じた。
俺は偽善者ぶるきもないが、傍観者でいつづけることで
あいつを殺してしまった。。そんな思いが頭をもたげる
ようになった。ム所にはいってサイアクの夜明けを
うずくまったまま迎えた。
to be continued....
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俺の相部屋のいじめられっ子は
いつも通りどこに視線を合わせているかも
わからず青白い顔で昼飯を食べていた。
食器に顔を近づけて犬のような汚い食べ方をしている。
俺は水をいれようとコップを取り席を
たつ。すると、いじめられっこの周りにぞろぞろと
人だかりがでてまた裏へと連れ出されている。
アザだらけの腕を引っ張られて。
看守もきづいているがやはり見て見ぬふりだ。
俺は傍観者。俺のしったこっちゃない。
そう思い、食器を返却口へと戻すと振り返ることも
なく自分の豚箱へ戻る。それが俺の日課だった。
あいつを助けるとかそんな思考はなかった。
部屋に戻って俺は手紙を読んでいた。手術の経過
などに俺は眉間に皺を寄せながら頭をかきむしる。
ぽとっ。この世で意識しなければおれ以外の人間には
聞き取れないほど微かな音をたててなにやら物が落ちる
のを聞き取る。
俺は音のしたほうへ近づく。
音の主は、茶色い封筒だった。埃をかぶっている
その茶封筒は数週間前にはあったものと思われる。
「これはなんなんだろう。」俺は妙な心境に胸の中が
ざわつく。誰も見ていないのを確かめると俺は急いでその
茶封筒をはさみで切り出す。
ひらひらと中身が落ちる。
その文面は。。
なんだ。。これ。マジかよ。。
俺は思わず声を漏らしそうになる。
「こつっ
こつっ。」看守が見回りに来る。俺は急いで紙を
ポケットに押し込む。
看守が去って行くのを見計らうと俺は、急いで食堂
へ引き返す。
裏にも回るが、人影がない。寂しく木の葉が舞っている
だけ。俺の囚人の知り合いに聞いても知らないという。
一歩遅かったか。。
俺は脱力感に襲われるのを感じた。
午後の共同作業が開始されてもやつの姿はない。
終礼になってようやくいじめられっこの話が出た。
看守は鬼のような声でいった。「どこにいるんだ!!!
さぼってんじゃねーぞ!!!」
ざわめく中ひきつった表情で、いじめの主犯の男が
看守になにやら言った。
看守は表情がゆがんだ。看守らは一目散に表へ飛び出ていった。
俺はその後を息を切らしながら必死で追った。
そしてたどり着いたところでまっていたものは。。。
やつの力なく垂れ下がった塊と化した死体だった・・・・
独房の前にある昔拷問に使って
いたという絞首台を使ってやつは自殺した・・・・・
すべては後の祭りだった。さすがにいじめていたやつも
自責の表情を浮かべている。
俺は、やつの無残な死を無駄にすることはできないと
思い、例の茶封筒を看守に渡して読むようにと言った。
終礼でその文面は読まれた。
それは遺書としてやつが書いたものだった。
あいつは婦女暴行で捕まった。しかもまだ無力な
少女を狙ったというきわめて残忍な事件だ。
それが俺たちのあいつを認識する唯一の方法。
でもやつの遺書でやつの心の中が叫ばれていた。
「僕は、やってない。僕は婦女暴行で捕まったけど
あれは、同じ高校のやつらがやった後に僕を呼び出し
僕がしたように責任をなすりつけたんだ!
母親も父親も妹も愛想をつかし僕を、粗大ごみかのような
目でっみて嘲笑した。こんな息子を育ててきたのかという
軽蔑の目だ。僕は無実で潔白だ。
少なからずともまじめにいきてきた18年間だった。。
でも、刑務所でも暴行されもう生きるのに疲れました。」
そう書きなぐるようにやつは遺書に記した。
その文面の発覚により、やつの地元の長野県警のずさんな
捜査体制が浮き彫りになり、警視庁は、再捜査グループを
新たに作り、すでに解決したとされるこの連続婦女暴行
事件の再捜査が行わるに至った。
そのかいあってか少女の遺体
を解剖班が緻密に捜査したところ
別のDNAがでてきたという。
やつのDNA
は一部から高濃度で検出されたため、さまざまな箇所から
とても微量に出てきたため見失っていた
DNAと違い第三者により意図的に少女に
やつの体液を付着させた。という見解をだしやつは
冤罪だということがわかったのだ。
やつの遺書で記されていた責任をなすりつけたというグループ
に職務質問をしたところ自首したそうだ。
ぽっかりと空白になった俺の相部屋。
明後日には新しいやつがはいってくるらしい。
いつもぶつぶつ何かを呟き恐ろしい目をしていたやつは
自分の潔白を証明するだけの力が残っていなかったんだろう。
現実を目の当たりにした俺。見て見ぬふりをしてきた俺は
急に自分自身が情けなく感じた。
俺は偽善者ぶるきもないが、傍観者でいつづけることで
あいつを殺してしまった。。そんな思いが頭をもたげる
ようになった。ム所にはいってサイアクの夜明けを
うずくまったまま迎えた。
to be continued....
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