水平線

2005年12月12日 小説 随筆
Fight for your light
第4話(6)
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札束は廊下一面に散らばった。
レナと俺はその中で二人きりだった。
こんなに傍に父親がいるのにまともに話せないレナ。
時はそれでも流れていく。どんな難問でも時間が解決してくれる。
誰かがそんなことを言った。果たしてそうなのだろうか。
いつまでたっても解決しない問題もあるんじゃないか。
俺は足元を覆い尽くす札束を蹴散らした。
10代のころのような鈍いそして体全身を襲う不安定なホルモンで
満たされていく。
そこに救いは一切なかった。

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俺たちはホテルを後にして、あてもなく歩き続いた。
スラム街ではストリートチルドレンで溢れ返っていた。
時々俺はこっちにきてもjapan timesを読む。
日本では今、女児を狙った事件が頻繁に起こっている。
「腐ってやがる」
俺は憤りを覚えた。一連の事件は、
まるで無数のコーヒーの無糖の苦味をそのままスプーンでかき混ぜ続け無限にループするかのように、
そのまま永遠に癒えることのない痛みを被害者の遺族にこのまま与えつづけるのだろう。
「レナ。」さっきからレナは死んだような目でただ歩き続けている。
俺はレナの背中ごしに彼女の孤独感を感じ取った。
ずっと一人で生きてきたという空気をリアルにそして嫌というほど切り刻まれた
肉片のようにただレナは歩いている。

 ふと俺が目をそらした瞬間。レナが消えた。狭い路地裏を横に入っていったようだ。
「レナ!!!!」俺は息を切らしながらレナの後を追った。
レナはシャツの袖をまくりあげて黒人につきだしていた。彼女の英語はネイティブなみであったが間違いなくここに注射をうてという意味なのは見て取れてわかった。
「レナ!!!やめろ!」俺は黒人とレナの間に割って入った。
大粒の汗が滴り落ちどんよりとした下水管へと落ちてゆく。
レナは相変わらず、虚ろな目をしたままふらふらしている。

「ドラッグだけには手をだすな!!!」
そういって俺はレナの腕を引きずって路地裏からつまみだした。
黒人の罵声が背中に迫ってくる。

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明けない夜などない。
どんな苦しい夜も。
どんなに切ない夜でも。
昔、母がよく聞いていたカーペンターズの「青春の輝き」を口ずさみ
ながら俺はこの密林のような街を歩き続けた。
背中にレナを背負って。

誘惑だらけの街。片言の日本語で客引きしてくる娼婦たち。
派手な化粧をして幾人もの多国籍娼婦がこのストリートに立っていた。
スロットの前に座り続ける空虚な住民。
すべてが細菌に感染したようにこの街は何かが狂っていた。
何もかも規格外の中に置かれたような鈍い痛みを俺はいつも感じている。
それは異国だからとかそういうものではない。
知子のことでもない。
俺はどうしても吐き出せない感情がいつだってある。
気づいたらいつだって誰かが手を差し伸べてくれる時代は終わった。
背中に暖かいぬくもりがあるのだけが今のレナの存在を確かめる唯一の方法だった。
かじかんだ手。いつも俺は繋がっていると思っていた。でもそれは違った。
レナも父親に愛されたかったんだろう。かなわぬ想いを胸に秘め泣きつかれすやすや
と寝ているレナの素顔は純粋な少女そのものであった。

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これ以上、細菌が増え続けるのを止めなくてはならない。
俺は戦わなければならない。
痛みさえ忘れて。どんな憤りも噛み殺し針となりそれは
やがて体中に毒として回っていっても。
狂うことなく俺は俺の歩む道を進むだけだ。
レナを背負いなおし俺は自分の歩いてきた足跡を振り返って
少し和らいだ笑顔を浮かべた。
                To be continued….
エンディング曲:「Sucide is painless 」
        by マニックス

水平線

2005年12月11日
「FIght for your light」
第4話(5)
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レナの父親は、いかにも仕事人間といういでたちであった。レナは固まったまま
動こうとしなかった。そう。彼女の父親は女を連れていたのだ。
前にレナに聞いた愛人の話が俺の胸の鼓動を高鳴らす。
父親はロビーからやがてこちらへと近づいてくる。そして、何事もなかったように
エレベーターへとむかう。その一部始終を俺たちは遠くの角から見ていた。
 レナは相変わらず固まったままだ。
「レナ?」俺は優しくそう囁く。
「いかないのか?」現実を目の当たりにしたレナには優しささへ残酷なものに
なるのだろうか。俺は知る術もない。
「・・・きて。ほしい。」カスレタ声で彼女はそう俺に投げかけた。
「・・・・・」レナと親父の問題に俺が出て行っていいのか。
第一俺たちは付き合っているわけでもないのに。
しかし、俺はレナの気持ちもしらずに、愛人といちゃついている彼女の
父親に憤りに似たものを覚えた。
7階まで俺たちは先回りした。そして部屋の前に立っていた。
まるで門番のように。
コツっコツっ足音が談笑と共に近づいてくる。俺は早なる鼓動を抑える
ことができなかった。
そしてやがてレナの父親は俺たちの存在に気づいた。
緊迫した空気が流れる。
「・・・・・」父親は何も言わずに黙ったままだ。視線を泳がせながら。
だが愛人を離そうとはしなかった。
「なにかきっかけをつくるしかないな。」俺は心の中でそうつぶやいた。
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「レナのお父さんですよね?」俺は穏やかに言った。
男は張り付いた笑顔を浮かべた。それは泥人形のように薄汚く
そしてあまりにも人工的なものであった。
咳払いをして「そうだ。」と一言しぶるように彼は言った。
レナは黙って下をむいたままだった。
「・・・・俺は彼女の大学の友人です。ですからこんな
ことをいう立場にはないと思います。でも・・」
「でもなんだというんだ?」彼はいらだつようにさえぎった。

「・・・彼女の気持ちをもっと考えてやってください。」
「毎月金なら振り込んでるし、レナに不自由な思いを
させたことなどない。」彼はそう突き放すように言う。
「・・お金の問題じゃないと俺は思います。」
支離滅裂だった。そしてまた重い沈黙が起きようとした
刹那レナが半ば半狂乱に言った。
「金、金って。金でなんでも解決したみたいな顔しないでよ!!!」
父親は黙る。そして愛人は薄汚いものを見るかのような冷笑を
うっすらと浮かべている。
「金がほしいんだろ?」レナの父親は茶封筒をポケットからだした。
中には万札がはいっていた。おそらく100枚は最低でもあるだろう。
それをレナのポケットに突っ込んだ。
「私は、おまえに不自由な思いをさせたつもりはない。繰り返すが
それだけだ。もうかえってくれ。」そういってホテルのドアのオート
キーカードをかざした。
黙り込む俺。そしてなす術のない俺。こんな無力な俺をどうやって
表現していいかすら分からない。

・    ・・・・
・    「こんなものいらないわよ!!!」
・    その刹那。万札が舞った。レナが茶封筒を
 廊下の窓へと投げ捨てた。万札は俺たちに語りかけることも
 まく宙をひらひらと舞っていた。
「こんな汚れたお金なんて誰がうけとるっていうのよ。
口座にだってふりこんでこないで!!!!」
レナは泣きながら叫んだ。

彼女の声は父親に届いたかは分からない。
オートロックに閉ざされた要塞のようなドアごしに
彼女は崩れ落ちた。
俺は彼女にかける言葉を必死に探していた。

ENDING曲:マニックストリートプリーチャーズ
      「The Everlasting」
今日もバイトだー!!!今日は12時から21時までだ。
気合いれていくぜぃ!!てか強制気合注入じゃねーと
やってられねえもん。へっへっへ。
今日はカシミアセーター8000円が5000円ですよ。
けっこぅ価格変動が激しいだけに単価の高いもの買うときは
時期みてかうべきやなと思いました。アンティークレザー
なんて2万だったのに、こないだレジはいったら1万2千
とスキャンしたらでてきたんで間違ってるんかとおもって2回
スキャンしちゃいましたww今月号のメンノんにUNIQLO
けっこうのってたぜぃ。へっへへ。うれしいことよ。
今回は内容が薄っぺらかったっていうか習慣で買ったけど
いまいちだあぁ。RICOのやつみたけどいいのないなああ。。
ジェネラルリサーチいいけど奇抜だからちょいと手だしにくい。
やっぱ無難にFACTOTUMですかねえ。とかしったかしてみたぜ。
へっへっへ。給料でたんでさっそく梅田のBEAMSで
DISCOVERDのスニーカー買っちゃいましたけど、、
いやー時代はUNI○LOでしょう!

P.S

編集長、ゼミの発表がんばってください^^

恒例

2005年12月10日 勉強
のパルモア学院に今日も修行にいくとするかのぅ。
へっへっへ。

バイト

2005年12月9日 バイト
行ってきたぜぃ!!レジまだまだむずいぜぃ!!
早くミスしなくなるようがんばりますたい!!
明日はパルモアだ!!もぅ眠いぜぃ
青山のおばはん応対わるいぜぃ!終わってるぜ!!
早、あれから一年が過ぎようとしています。
そう。ルミナリエが始まろうとしています。
るみなりえなんて糞だぜw
えー世間はこれからクリスマスイヴ、クリスマス
といろいろイベントがあるみたいですが私TKは
バイトして録画しおいたMステスペシャルを
みてEVEをすごそうかなともくろんいますw

そして年明け1月15日ちょいとまじめな話を
してTOEICがあります。悩んだ末、大阪会場に
しました。神戸でパルモアになる可能性100
じゃないんで無難な大阪にしときました。
まーその15日にむけ照準を合わせ対策をしたいと
思うわけなんですが、とりあれえず最低5文は
毎日英文を読もうかなと思っています。

それとバイトですよね。バイトうーん。火曜日に
飲み会歓迎会みたいのがあるんですけど22時からやし
ちとめんどくさいから迷っております。準社員しか
こないだろうしな。Sさんはバイトだからまずこない
でしょう。つうか絶対彼氏いるなあれは!
ダントツかわいいもんね。あとは、まあまあの人もいるけど
話し方がおやじくさいので幻滅しました。
女がパイオツとかいうの聞きたくないですよハイ。
それから日曜昼休憩でローソンいくと


「TK!!先いくなんてせつなすぎるよ!!!」
って優しいM先輩(女)が声かけてくれたんです。
ふっ。俺は一人で飯食おうとおもってたんです。
「あぁすいません!先輩たちさきいったと思ってました!」

休憩室にて。
先輩の中で女なのに、男みたいなかたがいらっしゃいます。
まーいうたらアじゃコンぐみたいな?それはいいすぎですか。
短髪でメンズの商品をみにまとうSさん。
そんなSさんは店員のなかでもうすぐやめるHくんに恋をして
いるということが発覚。クリスマスEVEに告白するそうな。
そこで俺。
「がんばってください。聖なる夜ですもんね!」
Sさんが赤面したのはいうまでもない。

色恋沙汰さまざまみなさんあると思いますが
幸せな年末年始を過ごしてください。
間違ってもTKのように
バイトにM捨てを見るなどという
愚行はやめてください。

               合掌

雑用DAY

2005年12月7日 就職活動
今日はTOEICの試験申し込んだり(やっとw)
スーツを青山にみにいったりと雑用してから
学校いきました。出席とらないのは痛かったです^^:
とりあえずスーツ2着、鞄、カッターシャツ2着
をそろえましたとさ^^

スランプ?

2005年12月6日
うーむむココに来てまったく創作活動意欲が沸かず。
暖め続けてきた水平線を書き出して
一ヶ月弱、完結の日はくるのだろうか。
まあ来年の月9のオファーも決まった身の上
なだけにかききらなければなりませんが。。
北川氏にもタイトなスケジュールにさせたら
悪いですし。。今は速水もこみち君に直哉役
あとは妻夫木さんとベッキーに交渉していますが
難航中です。ベッキーの代役として
平山あやが新たに浮上しました。
知子役は僕のオーディション100人
から厳選した実力派女優を抜擢しようという企画が
でました。面接を4回ほど行い激戦を勝ち抜いた方がミス水平線を
勝ち取るというわけでございます。
ロケ地がNY、ハーバード等海外をまたに
かけるため予算オーバーなので、いかにスタジオと
人件費を圧縮するかに頭を悩ましております。
あとはマニックスとこうだくみにドラマ主題歌・
挿入歌の著作権料交渉など問題は山積みです。
果たして無事OAできるか。。



P/Sいい加減やばいので、明日スーツ買います。
英語がんばるぞう!

働きマン

2005年12月4日
みたくがんばりました。
今日はレジのOJTのため朝の8時半にバイト先へ。
そっからPM10時まで働きづめ。休憩計2時間
あったけどね。けっこう足と腰に来ました。
準社員とかおれより1こしたとかタメとかなのに
マジでしっかりしてるしできるね。俺もそんな
みんなのようになれるよう日々成長しております。
でさっきフロで粉雪を熱唱!!ハイ近所迷惑!!
今日はマジ疲れたので水平線など更新いたしません!!!ww
ハイテンションな時は水平線は書けません。気分は
ローじゃないとww
あとフォートマイナーのライジングタイドはかなり
よかったです。いかついHIPHOPはパスだけど
こういうHIPHOPは好きですねー。

              合掌

いやぁー

2005年12月3日
次長課長の河本おもろすぎやわ!!!!wwww
第4話(5) 
緑が生い茂った木々の中にあるビジネス街。その一角のカフェで待ち合わせて

いた。入り口に入ると一人ぽつんと寂しそうな背中をむけているレナ。

すぐにレナだとわかった。こういう異国の中では日本人同士共鳴しあって
しまうからだろうか。少しレナを見つけた瞬間、安堵と切なさが入

り混じって
精製された感情が湧き出す。彼女はコーヒーをスプーンでかき混ぜていた。

俺は肩に手をぽんっと後ろから軽く乗せてから向かい側の席に

「座っていいか?」と聞いてから座った。

まじまじとレナを改めてみる。日本にいるときにはきづかなかったが

レナの瞳はよく見ると透き通ったエメラルドのような色をしていた。
「・・・・久しぶりね。」
「そうだな。」俺はウエイトレスが近づくのみてすいません同じのひとつ
とオーダーした。
「それで・・」俺はそこで口をつぐんだ。
「春樹君、少しやせた?」

急なレナの言葉に俺はまたも困惑させられる。

彼女はいつだってペースを
乱すところがある。

それは彼女の魅力と同時に欠点だった。

「そうか?こっちきて不規則な生活してるからかもな。」

コーヒーが運ばれてきてウエイトレスが丁寧にテーブルにカップを

おく。俺は軽く会釈をした。そして、多めに砂糖を入れる。
「俺って昔から甘党なんだよなあ。」

レナはくすっと笑う。笑ったときに目が糸みたいになる。
普段はぱっちりした目がその糸になると俺はうれしくなる。
「そうなんだ。春樹くんって女の子みたいだね。」
すこし茶化された気がしたので俺は頭を掻いた。
「春樹君ってさ、普通の人にない何かをもっている気がする。」
「何か?」俺はレナの目を見て言う。
「うん。上手くはいえないけど、相手の心を見抜いてそれを
うまくリードするっていうのかな。」
自分のいいところ悪いところっていうのは自分が一番わかっている
ようでわかっていない。
「リードねぇ。レナも普通の女の子とは違うな。なんつーか
どれだけしゃべっててもつかみきれないっつうか。
どこまでが本音なのかわからない。」
俺は本心で語った。

「どういうこと?」レナはコーヒーを上品に啜りながら上目遣いで言う。
「うーん。なんだろ。いっしょにずっと居て話してもレナのことはわか
らないってことさ。つまり、そーだなあ。用は何を考えているか分からない。」
そこでしばらく沈黙が流れる。
たまに俺はこういう人種に出くわす。あまり自分の思っていることを口に
しないタイプだろうか。昔俺の友人の中にもいた。彼は意識的に自分のことを
言わないのかは分からないがどんな人か分からずじまいだった。
レナにはそれに似たものを覚える。
「分からないねえ。確かに私って、あんまりおおっぴらにしない人だから。」
レナは物憂げな表情で言った。
「春樹君がさらけだせって言ったけど私にはそれはできないかも。」
「あせることはねーよ。人間ってそんなすぐ変わるものじゃねーし。」
俺は肩の力をぬけよというジェスチャーをしてタバコに火をつけた。
「それで、親父とは話せたのか?」
「まだ。今日の22時に会議が終わるから会社までいこうと思ってる。」
「で。俺についてきてほしいって?」
「そーいうことね。」
俺は笑顔でコーヒーの香りを楽しんだ。
「お安い御用で。」
「で。知子ちゃんはどうなの?」レナは言いにくそうだった。
「気にすんなよ。レナは親父のことだけ考えてな。」
そういって俺はレナの頭に手をぽんっと乗せて会計を済ませた。
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高層ビルがそびえたつビジネス街であるウォール街に俺らは
来た。スーツでびしっと決め手できる男や女が歩いている中で
俺たちの存在は明らかに浮いていた。
レナの親父が勤めてるニューエクスプレス証券会社の高層ビルの前に
俺たちは立っていた。
「待って。お父さんが一人になったときに行きたいの。」
俺は黙って彼女を見守っていた。
「会社の前はやべーよな。」
そして俺はこう付け加えた。
「レナ、親父の家わかんねーのか??」
「出張中はホテルに泊まっているの。」
「ホテル名はわかるのか?」
レナは手帳を取り出した。
ビジネスホテル:RIVER SIDE
そう殴り書きされたページを開いて場所を確認している。
「その前にいこうか?」俺はレナの判断を待った。
「・・・そうだね。きっと会社の前なら秘書とかSPに
取り囲まれるだろうし。」
「レナ。真実を確認したいのか?」
これ以上彼女に冒険をさせていいのか。
見たくないものまで見る必要があるのか。
知りたくないことまで知る必要があるのか。
「そのためにNYまでわざわざ来たんだから。」
レナはしっかり俺のほうをみて強く言った。
その表情をみて俺はついていくことにした。
                       
だが、強気な彼女だったがそれは素振りであることを
俺は見抜いていた。実は彼女がかすかに震えていた
から。後は彼女の意志を尊重するのみだろう。
殺伐としたウォール街を後にしてタクシーで
ブルジョワジーたちの高級ホテル街へと繰り出す。
静かな空気の中で俺は息を吸い込む。肺の中まで
汚れた空気が浸透していく。汚い大人たちのように
俺もなっていくのだろうか。島根に戻りたいとふと
俺はおもう。
ホテル「リバーサイド」まで俺たちは来た。
壮大な概観でプールまで付いていた。白い色を基調とした
レンガ造りで歴史ある空間を作り出すために独自の
加工が施されている。

さっきからだまったままのレナの後ろ姿を俺は一瞥する。
取締役のような貫禄のある男がロビーに入ってきた。
男はきれいに整髪されたオールバックに、厳かな表情
できびきび歩いている。少し神経質そうな感じだ。
その男をみているとレナがふいに言った。
「あれが、私の父親よ。」

          to be continued……
第4話(4)FIGHT FOR YOUR LIGHT

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NYの夜は日本より長く感じられた。
街に飛び交う言葉はスラングだらけの英語達。
教科書では教えてくれないリアルなNYの言葉が
吐き出されては消えていく。マディスン・スクエア・ガーデン
が街頭に照らされそびえたっている。
 時々俺はこんなことを考える。人はどこに向かって生き
どこに終着駅を求めるのか。そんな何気ないようで誰も示してくれることない解答を欲するべく
今日も日常を生きているのだろうか。ここ数ヶ月はさまざまな
ことが起こったせいか時間が濃縮されている気がする。
 人は旅に出ると一日をあっという間に感じる。日常から抜け出し
さまざまな人に出会い、新しい未知の世界に踏み入れ知的
好奇心をくすぐられる。年をとるほど新しい刺激はなくなり、
日々は単調になる。そして一日が早く終わるように感じる。
 昔、近所のおじさんの楠田さんが言っていた言葉を思い出す。
「年齢はすべてが平等に与えられているんじゃないんだよ。歳を
 くうとともに
比例してその時間の体感度は進みだすんだ。」
 俺は今20歳。
ここまでくるまでも気づいてみたらあっという間だったが
40歳になったときはもっと早く感じられるというのか。
 タバコに火をつけぼんやりと俺はNYの街を見渡す。
どこか渋谷に似た空気を感じる。渋谷と違い個性豊かな
光景だが、その根底にあるのは変わらないきがする。
またあの渋谷の交差点の雑踏を思い出しそれをNYの街並み
と重ね合わせてみる。俺はふいに眩暈がした。また何かに
吸い込まれそうな感覚だ。この街のどこかにブラックホール
があって俺はそこに吸い寄せられるかのように。
この交差点で俺だけに焦点をあわせられシャッターを切られた
一枚のモノクロ写真。俺はなぜかそんなイメージを脳裏にかすめた。
 俺の人生は誰かに操られているのか。この運命も変えることが
できないのだろうか。いつになく弱気になっている俺は頬を
叩いた。
 もうすぐ、レナとの待ち合わせ場所に着く。
擦り切れたジーンズに今も変わらず履きつぶしたローカットの
真っ赤なコンバースのまま俺は青信号に変わった交差点を横切って消えていった。

ENDING曲:マニックストリートプリーチャーズ
 「IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL
  BE NEXT」

                  to be continued....
いま欲しいアルバムがこれです。
俺の大好きなLINKINのマイク・シノダが
サブプロジェクトとして結成したHIPHOP
グループです。まだ買ってないのでどんな
曲かわからんけ試聴した感じではかなりよかったので
期待大です!!

うまぁー

2005年12月2日
いやぁ昨日は突然頭痛&吐き気に襲われやばかったです。
5ゲンおわってみんなでめしくった後に徐々にきて最後
は廃人になってましたwやっぱ寒い格好はだめだなー。
 昨日かえってすぐ寝たので体調は回復。一体なんだ
たんだろう。風邪が相変わらず流行っているようなので
みなさんおきをつけください。
 今日はあれだーバイトだ。っていってもちょっとやから
いーんだけどね。日曜日9時間いややなーー。それ
考えるとウツやわ。土曜はいれられてたけど英語学校なんで
ちょっと。。っというといかなくてよくなったので一安心。
 でも17からパルモアも冬休みなんでそこからははいるかね。
いやー金ほしいけどまじで遊べないな。
 ユニクロの準社員の女性スタッフのかたで広島出身の人がいてばりばり広島
弁なんですけど岡山弁とほぼいっしょということもあり
癒されます。 何々じゃけえ とか けぇ っていうところ
にきゅんとします。ちなみにその人は結婚しています!!!
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BARを出るとそこには暗黙の世界が広がっていた。まさにこれはスラム街といわんばかり
の状態だ。黒いストリートには飢え死にしそうなもの、ヤク切れをおこして
痙攣しているやつ。このひんやりと冷たい空気の中で擦り切れたジーンズ
のまま俺は歩き出す。BARから漏れる喧騒はやがて遠ざかっていく。
大通りにでた。ブランドのフラッグショップがたっている。この路地裏と
大通りの格差はすごかった。アメリカの資本主義の縮図のような気がした。
競争に勝つもの、負けたもの。むこうではブランド物を身につけてLVに
はいっていくカップル。俺はこのなりでは門前払いだなと思いウィンドウ
ショッピングを楽しむ。人種のるつぼのこのストリートではみな個性的
なファッションに身を包んでいる。あてもなく俺はストリートを浮浪者
のように徘徊していた。
 するとケータイがなった。ここはアメリカなのになぜ。と思い俺は
しばし戸惑いつつポケットを探る。ディスプレイをみるとレナだった。
俺は怪訝な表情で「もしもし。」と言う。
「春樹君?」
「おう。」俺は不思議な感覚に包まれながら答える。
「実は、私いまNYにいるの。」
「まじかよ。」俺はあまりにも唐突な出来事に耳を疑う。
「前言ったけどさ。ほら。お父さん外資系だから今NYにいるの。
それで、こないだ春樹君にあのこと話してきっちりお父さんと
話し合いたいと思ってこの冬休み中にいこうと思ってて。
春樹君もアメリカにいくって
いってたからね。もしかしてつながるかなと思ったの。突然ごめんね。」一応お互いヴォーダフォンだったのでケータイは
通じたというわけだ。
「なるどほどね。」俺は受話器越しにうなずきな
がらいった。そしてこう付け加えた。
「レナ。ちゃんといってこいよ。いままで溜め込んでたこと。」
「・・・・うん。ありがとう。」
「なんかあればまた電話しろよな。」俺は穏やかに言った。
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翌日。こっちに来て日課になった知子との面会。
もうあの日にはもどれないのだろうか。
手を握り締めても声をかけても反応はない。
ベッドの横の椅子に座って知子の寝顔を静寂
の中で俺は見つめていた。

そのとき、ノックがした。俺が返事をするとICUの例の重く分厚い
扉が開きがしゃんと閉じる。何度聞いてもこの音は俺に不快感を
与える。それはDr.コヴィー氏だった。Drは話があると俺に言った。
静かに強い口調で。まっすぐ俺はDrの目をみた。
Drが言った。メディカルスクールの中でもまだ臨床段階の最先端の
技術を凝縮した手術を知子にうけさせないかと。さらにDrは続ける。
この手術は成功率が2割。大脳から運動筋へいく情報を阻害する神経
をねこそぎ切除するのだ。成功すれば日常生活に支障をきたさない
程度にまで回復すると言った。しかし、失敗すれば。。
Drはそこで一呼吸おいた。そしてDrはこう続けた。
知子は永遠に帰らぬ人となるだろうと。
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俺は迷い続けた。知子に意識があれば確認がとれるのに。
俺が決めてしまっていいのか。両親は音信普通という状態で
すべて判断は俺にゆだねられていた。
一体どうすれば。。しかし、このままいっても一生知子は植物
人間状態なのだ。
俺は病院の屋上へいった。緑豊かな素晴らしい景色が広がっていた。
タバコに火をつける。そして俺はベンチに寝そべった。
いつの間にDrが横に立っていた。
「人間は決断しなければならないときが来る。春樹。君のもっとも
愛し愛されている人の重大な決断をするのは厳しいだろう。でもこれは君たち
二人の闘いであり、われわれは手術という医療行為しかできない。」
Drは屋上の柵をつかみ遠くを見つめていった。
「あのコを救えるのは、春樹。君しだいだ。」Drは俺のほうを振り返り
笑顔をみせて去っていった。
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PM6時
屋上で散々頭を抱えて俺は悩み続けた。
まるで考える人になったかのように。
失敗したらどうするんだ。。俺は一生
後悔することになるんだ。手術をしなけれ
ば治ることもないが死ぬこともない。
だが人間らしい生活を送れない。
「知子。。。おまえならどーすんだよ。」
俺は昔のあいつとの会話を思い返しながらそう
吐き出した。
ポケットのケータイのバイブ振動が脚に伝わった。
レナか!?俺はケータイをすぐさま出した。
通話ボタンをおすとレナが息をきらして受話器
にでる。
「春樹君!!お願い。来てほしいの。こっちに。」
NYに独りぼっちのレナの声はか細かった。
俺はわかったといい地下鉄へと向かった。

                     To be continued…..
どうもこんばんわ。例のごとくまたバイト
いってまいりました。今日なんかミーティング
まであって俺は社員じゃないんだからとおもいながら
もまじめにメモとってました。てかとらなきゃ
いけないんだけどねw
んで見にくいから最初わからなかったんです
けどさっそくわれらがOキタクンからコメント
もらいました。ありがとねーーw
うれしいお言葉を頂戴してモチベーションUP
しました。明日もバイトやけど(何回やんねん。)
学校にはちゃんといきまっす。それでは。

疲れたー

2005年11月28日コメント (2)
さっきバイトから帰ってきました。
今日は起きたら10時で完全に寝坊してゼミいけず。
これで一回休みだ。もう休めませんね。
でインターンシップだけ出て終わってそっこーで
バイトへ。疲れたけどなかなかやりがいあります。
店長ともだいぶうちとけてきた感じでよかったっす。
って明日もバイトだ。俺フリーターやん。。
日曜日なんか9時間はたらかなあかんとです。

P・S
今コメント機能ついたの知りました。
やってくれましたねーダイアリーノートもついにww
がんがんみなさまからのあたたかいコメントを
期待しております。
第4話(2)
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「ハル。ほんとにきてくれたんだ。」知子は破顔一笑した。
「約束だったからな。」時は遡って2002年。知子がアメリカに行く前
必ず3年後の冬にいくと言った俺。あの時といまとではなにもかもが
ちがう俺たち。でも変わらないのは今こうしてみつめあっている微笑だけだ。
知子は必死に右腕を動かしてあのときのサイン。そう。水平線を示して笑って
みせた。俺はそれにならっておどけてみせた。
「ねえ。ハル。わたしたちこうやって再会できたらある約束してたよね?」
知子は潤んだ瞳でまるで少女のように言った。
「さあ?」俺は忘れるわけないだろと思いながらも気恥ずかしさからわざと
そっけない振りをした。
ちらっと知子のほうをみると彼女は目を閉じていた。
俺は一呼吸おくと彼女のやわらかい唇に自分の唇を重ねた。

「Hey!!Whats up? Please get UP!! Haruki!!」
訳のわからない英語が早口でまくしたてられる。
俺はいつのまに眠ってしまっていた。
気づくと日が明けていた。足元には毛布がかけられていた。
そして肝心の知子は。相変わらず酸素マスクをつけて眠っていた。
そう。すべて夢だったのだ。
彼女は血色のない顔色をしていた。鏡の中の俺をみた。俺も寝てないせいか
クマができていた。
大学のキャンパスへ出てみる。
向こうでは談笑して遠くからちかづいてくるハーバード生がいた。
彼らは希望に満ち溢れ楽しそうに話していた。
俺は今の自分の惨めさに身を隠したい気持ちになる。
SMOKE AREAにいってマイルドセヴンに火をつける。
と思ったがライターがどこにもない。ポケットなどをさぐって
いると同い年くらいの男がきた。金髪ですこしカールがかかった
外国人特有の髪型。すっと通った鼻筋に青い瞳をしていた。
俺は「Could you borrow your righter?」とその男に言った。
「Sure.」彼はきさくに俺にライターを貸してくれた。
俺のしょぼい英語力で彼と片言の会話をした。
彼の名前はダニエル。いまはシニアつまり大学3回生である。

アメリカンフットボールのクォーターをやっているらしく強そうだった。
そんな逞しい彼は俺にこっちに来ないのか?といってきた。
俺は知子のことを簡単に言った。気の毒に。と彼はいった。
よかったら今晩俺のいきつけのBARにこいよ。と彼は言った。
俺は彼女の容態を確認していくといって別れた。
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病室にもどっても状況はまったく変わらない。
相変わらずの社会と切り離されたような世界。ICU。
3時間ほど彼女に話しかけ続けた。
「おまえ、また島根にいっしょにいくんじゃないのか?」
「これおまえが好きだった,たまごっちだよまたはやってんだぜ?」
「ほら、あの花火大会覚えてるか?おまえまじでびびってたな」
俺の言葉はすべて一方通行だ。会話のキャッチボールというものが
そこには存在しない。あまりにも孤独感だったからだろうか。
俺は気分転換にダニエルのいったBARに行くことにした。
 キャンパスをぬけて地下鉄で何駅かいったところにその
BARはあった。JAZZが店内には流れておりR&Bシンガーも
いた。ブルースは心に沁みる。俺は入り口で店内を見回していると
ダニエルが手をふって「HEY! Haru!!!」というのが聞こえた。
ダニエルは彼女のシンディをつれていた。シンディはブロンドの
ロングヘアーでおしゃれをしていた。すこしきつそうな性格といった
顔立ちであった。彫りの深い茶色い目をしていた。チアリーダーを
しているそうだ。ダニエルから紹介をうけて俺もハルとよんでくれ
といった。俺はカクテルを飲んだ。名前は、BITCH。
ビッチのようなあばずれのような荒んだ色合いだが味は上品な
ライムだ。なりは軽薄だが中身はあるのだ。ビッチを味わっていると
後ろで喧嘩が起こった。どうやらダニエルの連れらしい。
英語で何をいっているかわからなかったがFUCK!!FUCKIN
とやたらなお粗末な言葉ばかりつかわれている。俺はきにせず
BITCHを飲む。酔いが回ってきた。もう何もかもから逃げ出したかった。
左右隅のトイレではイラン人らしき男がヘロインの密売をしている。
とんでもないBARにきたと俺は思った。
いっそ俺もヘロインをうって知子とあの世にいっちまいたいと思った。
ダニエルは喧嘩の仲裁に入っている。よくある西部劇じゃねーんだから
と俺はおもいながらタバコを吸う。

あきらかにジャンキーな40代くらいの荒んだ身なりの男が
俺の横のカウンター席に座った。彼はじろじろこちらを見てきた。
まるで品定めするように。ダニエルは大声で言った。
「Its a show time!!!!」
仲裁と思っていたがどうやらこの喧嘩でどちらが勝つか賭けを
するというのだ。ほんとアメフトやってるやつらは考えが
アニマル並みだと俺は思いながらカクテルを飲み干す。
本当にこれこそまさにBITCHだなと思いでも熱いダニエル
たちに俺は顔をほころばした。
付き合いきれないと思いダニエルに右の細マッチヨに20ドル
といって俺は店を出て行った。 Tobe continued…..
――――――――――――
第4話(1)

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時は流れていく。俺の意志とは無関係に。季節も移り変わっていく。

寒さがしみる季節がついに到来した。あの日から3年が経った。

知子の手術の是非がわかる日がついに来るのだ。

明昌大学もついに冬休みを迎えた。俺は渡米するための身支度を始めた。

渡米というほど大げさなものではない。今回は観光ではなく約束を果たすため

だから。俺は誰にもつげることなくボストンバッグを担いだ。なにもなく閑散

とした自分の部屋を何気なく眺める。俺のPCが置いてある机の横に立てている

写真立て。俺が高校2年のときに知子ととった2ショット写真だ。眩しい笑顔で

俺たちは思いおもいのポーズをとってカメラにむかっていた。変色した写真が

セピア色に色褪せていく。時間が経つにつれ鮮明だった楽しかった思い出も

色褪せていくのだろうか。俺はニット帽を目深にかぶりドアを開けた。

 ふと昨日のレナの言葉を思い出す。実の両親だと信じていたその事実が

突然崩れたとき人はどういう反応を示すだろうか。俺がそういう立場にたったら

おそらく今までのスタンスを貫き続ける自信はない。

俺があの夜、東京湾に連れて行ったときにいった言葉がよかったかはわからない。

「今は知子のことだけ考えよう。」俺は無数の雑念を振り払うかのように自分に

言い聞かせた。筋萎萎縮症について宮元主治医から聞いたことを思い出した。

宮元医師は俺にこういった。

「この病気は主に脊髄から筋肉に至る部位の運動神経が破壊される、原因不明の疾病です。大脳からの命令が筋肉に伝わらず、筋肉が働かないために萎縮し、また徐々に麻痺します。個人差がありますが、数ヵ月から数年の間に徐々に全身が麻痺します。 」

なにがなんだかわからなかった。ただ頭にあるのは知子は助かるのかとい言葉だけが俺の頭の

中を渦巻いていた。成田空港に俺は向かった。JAL15便、ニューヨーク行き。

15時間ほどかけて空港へ降り立つ。

そして知子が治療を受けているハーバード大学へいくため、地下鉄でマサチューセッツ

州にあるケンブリッジへとむかう。大学の中核はボストン近郊ケンブリッジCambridgeのハーバードヤードHarvard Yardを中心とするケンブリッジキャンパスである。

メディカルスクールや大学院もあり非常に優秀な人材が揃っている。すべてを賭けていた。

 時差の影響でボストン入りしたときには真夜中になっていた。予約しておいたモーテル

へ俺はチェックインする。色とりどりに彩られたネオンライト。まさに人種のるつぼだ。

白人、アメリカ系黒人、ヒスパニッシュ様々な人間がストリートを徘徊している。

 みなアジア人の俺には無関心だ。というよりも外国人だらけのアメリカは共存という

感覚が普通なのであろう。島国である日本では日本人しかいないから外国人をついつい

みてしまうが。

なんとも粗悪な夕食をだされて俺はなんともいえない表情で食べていたろう。

コンビニらしきものでも店員はふんぞりかえって無愛想。日本ではありえない光景だ。

これでサービス業をやっているのだからすごい。というより日本が他国にKAROUSHIと表現されるくらい働きすぎなんだと俺は思った。

 キャンパスにはいるとジョン・ハーバード像があった。厳かな外観。この足先に触れば

幸せが訪れるという言い伝えがあるそうだ。俺は藁にもすがるおもいで足先に触れる。

そしてメディカルスクールへとむかう。ここは大学院で医学の最先端を学ぶものが通って

いるところだ。

 俺は東都大学医学部の高橋教授から紹介された、Drコヴィー氏はいるかどうか受付

で聞いた。こころよい応対で奥の応接室へと通された。コヴィー氏は笑顔で俺を迎え

てくれた。「Please、Sit Down. Dont Worry.」博士はそういってくれた。

図などを使っていろいろ説明を受けた。博士の顔がしだいに険しくなっていくのが読み取れた。最先端の手術を試みたが経過は芳しくないようだ。「May I meet her?」

俺は片言の英語でそういった。博士は助手に部屋を案内するように言った。

 案内された場所にはこう書いてあった。ICU。テレビでみたことしかない光景を

目の当たりにして俺は息が詰まりそうになる。集中治療室だ。

分厚い扉を助手が開ける。その扉が閉まるとき外界から遮断されたような感覚がした。

点滴のぽとっぽとっという音、心電図の音すべてが一定のリズムを打つ。

 「知子・・・」俺は弱々しく言った。彼女はすっかりか細くなって酸素マスクを

つけていた。これがあの知子?3年という時間がいままさに暴力的にすら思える。

時間というイタズラな罠が彼女をどんどん弱らせていく。

俺はベッドの横までいってかがんで言った。

「知子。わかるか?俺だ。ハルだ!」俺は知子に伝わるように言った。

知子は眠ったまま反応がない。助手がそれを見かねてこう言った。

「She has been slept since three months ago.」

俺はそれを無視して手を握った。

それは機械のように冷たい。生命が宿っていないかのような冷たさだ。

たしかに心臓の鼓動は聞こえるが生きている証が見当たらない。

いったいこの3年間で彼女はどのような扱いを受けてきたというのか。

1時間。2時間。3時間。俺はその病室に居続けた。

5時間後、博士が病室にはいってきてこういった。知子がまだ元気なとき、

ハルはどうしてるかってよくいっていたよ。また出雲の水平線を二人でみに

いくんだ。って。そこではじめてのキスをするんだってね。博士は微笑みながら

言った。深夜になっても俺はそこに居続けた。なにかに取り付かれたように

ただそこに居た。



俺がうたた寝をはじめたころだったろうか。

ふいにか細い声が俺の耳をかすめる。

「・・・・る?・・・・ル?」

俺は眠い目をこすりながらなんだろうと目を覚ます。

「・・・なの?ハルなの?」

俺は一気に覚醒する。知子がしゃべっているのだ。

ついに目を覚ましたのだろうか。

「ともこ?」俺は彼女にささやいた。

「ハル。。」彼女は優しい微笑みを浮かべていた。

顔の表情筋はまだ健常であった。昔のままの面影が浮かび上がる。

「春樹。。会いたかった。」知子はそういった。

俺は言いたいことがありすぎて何もいえなかった。

ただ手を握り締めることしか。ただ傍にいることだけしかできなかった。

                              To be continued……
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3話/全5話 
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「文面にはそう書いてあったんだ。そしてその後ろに預金通帳が俺名義で

振り込んであったんだ。300万ほどね。俺が大学いけるようにって

親父がこつこつ貯めてくれてたんだ。一生懸命働いて親父はまったく遊びもせずにな。

んで俺はほんとに親父に迷惑かけたなって。ぜんぜん親父のこと大切にしてやんなかったって後悔したと同時につかれきった親父の寝顔をみて親父の強さを知った。」

レナは黙って俺を見つめていた。

「でもな。どうしてここまで強いんだっておもったよ。親父も

誰かに甘えたかったんだろうなって思った。時々人にたよったって

いいじゃねーかってさ。だからレナ。おまえもたまには俺でもいいし

みんなにもっと甘えてみろよ。自分をさらけだしてみろよ。まあ俺たち似たもん

同士なのかもな。」

それは俺自身にむけて言った言葉でもあった。

レナはいつのまに涙を流していた。閉ざし続けた心の奥底に秘めているものが

あふれ出すかのように。俺たちは変わらず輝き続けるオリオン座を白い

息をはきながら見つめていた。         

      第3話終了 to be continued・・・第4話

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